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退職は、転職先の内定を承諾したあと、退職希望日の1〜1.5か月前までに、直属の上司へ対面で「相談」ではなく「決定の報告」として伝えるのが基本です。本記事では、切り出す前に決めておくこと、法律・就業規則・実務のタイミング、アポの取り方と言い方の例文、理由別の伝え方、引き止められたときの対処法、伝えたあとの流れまでを人材紹介の現場視点で解説します。
「転職先は決まったけれど、上司にどう切り出せばいいのか分からない」「引き止められたらどうしよう」「何日前に言えばいいのか」——内定が出たあと、最後に残る大きな壁が退職の切り出し方です。
結論からいうと、退職は転職先の内定を承諾したあと、退職希望日の1〜1.5か月前までに、直属の上司へ対面で「相談」ではなく「決定の報告」として伝えるのが基本です。伝え方の型を知り、引き止めへの答えを用意しておけば、必要以上に恐れることはありません。
この記事では、切り出す前に決めておく4つのこと、法律・就業規則・実務の3つの目安、誰に・どこで・どう切り出すか、言い方の例文と理由別の伝え方、引き止められたときの対処法、伝えたあとの流れを順に解説します。
切り出し方で失敗する人の多くは、「言うこと」だけを考えて、「決めておくこと」を準備していません。上司との話が長引かないよう、次の4点を先に固めておきましょう。
| 決めておくこと | 内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| ①退職の意思を固める(内定承諾後) | 転職先の内定を承諾してから伝える。迷いが残る段階では切り出さない | 迷いがあると引き止めに揺れ、話が長期化する |
| ②退職希望日と最終出社日の案 | 就業規則の申し出期限+引き継ぎ期間+有給消化を逆算して決める | 日付の案がないと「調整」に持ち込まれる |
| ③退職理由の言い方 | 不満ではなく「かなえたいこと」で、一言で言える形にしておく | 理由が曖昧だと「解決するから残って」の引き止めを招く |
| ④引き継ぎの案 | 担当業務の一覧と、引き継ぎに必要な期間の見込み | 「今辞められると困る」への具体的な答えになる |
| 書類 | 意味 | 出すタイミング |
|---|---|---|
| 退職願 | 退職を「お願い」する書類。会社が承諾するまで撤回できる | 口頭で退職を伝えたあと、会社の指示があれば提出 |
| 退職届 | 退職を「届け出る」書類。提出後の撤回は原則できない | 退職日が確定したあと、会社の書式に従って提出 |
いきなり退職届を出すのではなく、まず口頭で伝え、退職日が決まってから書類を出すのが円満退職の順番です。会社によって書式や提出先が決まっていることが多いので、伝えたあとに人事や上司に確認しましょう。
| 目安 | 内容 | 考え方 |
|---|---|---|
| 法律(民法627条) | 期間の定めのない雇用契約は、退職の申し入れから2週間で終了する | 最低限の期限。円満退職を目指すなら、これを根拠に最短で辞めるのは最終手段 |
| 就業規則 | 「退職日の1か月前まで」など、会社ごとに申し出期限を定めていることが多い | 円満退職の基本はこれに従う。伝える前に必ず確認する |
| 実務の目安 | 退職希望日の1〜1.5か月前。引き継ぎが多い職種は2〜3か月前 | 引き継ぎ・有給消化・取引先への挨拶に必要な時間から逆算する |
| 時期 | やること |
|---|---|
| 内定〜1週間 | 労働条件の確認、内定承諾。入社日の仮決め(内定から1〜3か月後が目安) |
| 承諾直後 | 直属の上司にアポを取り、退職の意思を伝える |
| 伝えてから1〜2週間 | 退職日の確定、退職届の提出、引き継ぎ計画の作成 |
| 退職日の1か月前〜 | 後任への引き継ぎ、引き継ぎ資料の作成、取引先への挨拶 |
| 退職日の2〜3週間前〜 | 有給休暇の消化、備品返却、必要書類の確認 |
| 退職日 | 最終出社・挨拶。離職票や源泉徴収票の受け取り方法を確認 |
在職中に転職活動を進め、内定承諾から退職までを逆算する全体の流れは、在職中の転職活動の進め方で詳しく解説しています。
退職の意思は、必ず直属の上司に最初に伝えます。同僚や先輩、他部署の人、人事に先に話すと、上司が人づてに知ることになり、関係が一気に悪くなります。上司より上の役職者に直接伝えるのも、上司の顔をつぶすことになるため避けましょう。
デスクで立ち話をしたり、メールやチャットだけで済ませたりするのはNGです。「お話ししたいことがあるので、お時間をいただけますか」と事前にアポを取り、会議室など二人きりで話せる場所で伝えます。リモート勤務で対面が難しい場合は、ビデオ通話で顔を見て伝えましょう。
アポの段階では「退職」という言葉は出さず、「今後のこと」「ご相談」にとどめます。本題は対面の場で伝えます。
切り出すときにいちばん大切なのは、「退職を考えています」「相談があります」ではなく「退職させていただきたく、お時間をいただきました」と、決定事項として伝えることです。「考えている」「迷っている」と受け取られると、上司は引き止めるのが役目になり、話が長引きます。言葉遣いは丁寧に、意思は明確に伝えるのが基本です。
この一言に、「感謝」「退職の意思(決定)」「希望日」「引き継ぎへの責任」の4つが入っています。理由を聞かれたら、次の理由別の例文のように、前向きな言い方で一言添えます。
| 本当の理由 | 上司に伝える言い方(例文) |
|---|---|
| キャリアチェンジ・やりたい仕事がある | 「以前から関心のあった◯◯の分野に挑戦したいと考え、そのための環境を選びました。今の会社で学んだことを土台に、新しい領域で力を試したいと思っています」 |
| 給与・評価への不満 | 「自分の成果がより直接的に評価される環境で、営業として力を伸ばしたいと考えました」(不満そのものは言わない) |
| 残業・労働環境 | 「今後のライフプランを考え、働き方を見直したいと考えました。腰を据えて長く働ける環境を選びました」 |
| 人間関係 | 「チームで意見を出し合いながら進める働き方に挑戦したいと考えました」(特定の人の話はしない) |
| 家庭の事情・体調 | 「家庭の事情により、働き方を変える必要が生じました」「体調面を考慮し、環境を変える判断をしました」(詳細は話さなくてよい) |
共通するのは、会社や上司への不満を理由にしないことです。不満を言うと「改善するから残ってほしい」という引き止めの材料になり、残らなかった場合の関係も悪くなります。転職理由の前向きな言い換えは、転職理由の伝え方と例文10選でも紹介しています。
| NGな言い方 | なぜNGか | 言い換え |
|---|---|---|
| 「退職を考えているのですが…」 | 決定に聞こえず、引き止めの余地を残す | 「退職させていただきたく、お時間をいただきました」 |
| 「◯月◯日で辞めます」(断定) | 一方的で、引き継ぎの相談ができない印象 | 「◯月末を希望していますが、引き継ぎを含めてご相談させてください」 |
| 「△△社に転職します」 | 転職先を明かすと引き止めや詮索の材料になる | 「次の職場は決まっております」にとどめる |
| 「給与が低いので」「上司と合わないので」 | 不満は引き止めの口実になり、関係が悪化する | 「かなえたいこと」で語る |
| メールやチャットだけで伝える | 礼を欠くと受け取られ、その後の手続きにも影響する | アポを取り、対面(またはビデオ通話)で伝える |
経験のある上司ほど、引き止めは想定内です。「何を言われても意思は変わらない」と決めてから臨むことが最大の対策ですが、パターンごとの答えを用意しておくと落ち着いて対応できます。
| 引き止めのパターン | 上司の言葉の例 | 対応 |
|---|---|---|
| 待遇の改善を提案される | 「給与を上げるから残ってほしい」 | 「ありがたいお話ですが、待遇が理由ではなく、◯◯に挑戦したいという気持ちで決めました」と感謝しつつ断る。条件で残ると、転職を考えた根本の理由は解決しない |
| 異動・配置換えを提案される | 「部署を変えるから考え直して」 | 転職理由が今の会社では実現できないものであることを伝える。「新しい環境でやりたい」と一貫させる |
| 後任がいない・時期を延ばしてほしい | 「今辞められると困る。半年待ってくれ」 | 引き継ぎ計画を示し、「◯月末までに責任を持って引き継ぎます」と期限を明確に。無期限の延期には応じない |
| 情に訴えられる | 「育ててきたのに」「裏切りだ」 | 感謝を伝えたうえで、「だからこそ、きちんとお伝えしたいと思いました」と意思は変えない |
| 退職届を受け取らない | 「認めない」「受理しない」 | 退職は労働者の権利で、会社の承認は不要。人事に相談し、それでも進まなければ内容証明郵便で退職届を送る方法もある |
引き止めにあって迷いが出た場合は、転職を考えた最初の理由に立ち返るのが後悔しないコツです。条件が改善されても、根本の理由が解決しないなら、結論は変わりません。入社1年目など早期の退職で迷っている方は、入社1年目で辞めたいのは甘え?で判断基準を整理しています。
| 相手 | いつ | 伝え方 |
|---|---|---|
| 直属の上司 | 最初 | 対面で、決定の報告として |
| 人事 | 上司と退職日が合意したあと | 上司からの連絡か、上司の指示で自分から。書類と手続きを確認 |
| 同僚・後輩 | 会社から正式に発表されたあと(上司と相談して時期を決める) | 上司より先に話さない。引き継ぎ相手には早めに |
| 取引先 | 退職日の2〜4週間前、後任と一緒に | 後任の紹介を兼ねて挨拶。自分の転職先は伝えない |
引き継ぎは、担当業務の一覧・進行中の案件の状況・取引先の連絡先と注意点・定例業務の手順を資料にまとめ、後任と一緒に確認する時間を取ります。「口頭で伝えた」だけでは残らないため、必ず文書にしましょう。有給休暇は、引き継ぎを終えたあとの最終出社日から退職日までの期間で消化するのが一般的です。残日数と消化計画は、退職日を決める段階で上司に伝えておきます。
退職後の入社手続きまで含めた転職活動全体の流れは、転職活動の進め方【初めての方向け】で5つのステップに分けて解説しています。
A. アポを取るためのメールは問題ありませんが、退職の意思そのものは対面(リモートならビデオ通話)で伝えるのがマナーです。メールだけで済ませると礼を欠くと受け取られ、その後の手続きや関係に影響します。
A. 期間の定めのない雇用契約なら、民法上は申し入れから2週間で退職できます。ただし、円満退職を目指すなら就業規則の申し出期限(1か月前など)に従い、引き継ぎの時間を確保するのが基本です。2週間での退職は、体調やハラスメントなどやむを得ない場合の最終手段と考えましょう。
A. 答える義務はありません。「次の職場は決まっております」にとどめ、社名は伝えないのが無難です。同業他社の場合は特に、引き止めや詮索の材料になります。
A. 嘘をつく必要はありませんが、不満をそのまま伝える必要もありません。「一身上の都合」で足り、聞かれたら「かなえたいこと」を前向きに一言添えれば十分です。
A. 社内の人への相談は避けましょう。人づてに上司の耳に入ると、関係が悪化します。相談したい場合は、社外の友人や転職エージェントなど、社内に情報が伝わらない相手にしましょう。
退職の切り出し方で大切なのは、内定を承諾して意思を固め、退職希望日の1〜1.5か月前までに、直属の上司へ対面で「決定の報告」として伝えることです。感謝・意思・希望日・引き継ぎへの責任の4つを一言に込め、理由は不満ではなく「かなえたいこと」で語れば、引き止めにも落ち着いて対応できます。
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執筆・監修 岩田珠優(CA/RA担当)
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