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スタートアップへの転職には、事業の存続・収入の不安定さ・業務量・教育制度の未整備・専門性の薄まり・方針転換・少人数ゆえの人間関係という7つのリスクがあります。それぞれの対策、成長フェーズ別の違い、後悔する人のパターン、危ない会社を見極めるチェックポイント、向いている人・向いていない人を、20代の転職相談の現場から解説します。
「スタートアップは成長できそうだけど、倒産や給料が心配」「『やめとけ』と言われたけれど、何がそんなに危ないの?」。スタートアップ転職を考える20代からの相談は、期待と不安が半々です。結論からいうと、スタートアップのリスクは確かにありますが、種類が決まっているので事前に対策できます。
後悔する人の多くは、リスクそのものではなく、「どんなリスクがあるかを知らずに、勢いで決めた」 ことが原因です。逆に、リスクを理解したうえで会社と成長フェーズを選んだ人は、大きな裁量と成長を手に入れています。
この記事では、スタートアップ転職の7つのリスクと対策、成長フェーズによる違い、後悔する人のパターンを整理します。危ない会社を見極めるチェックポイント、向いている人・向いていない人、リスクを抑えて転職する進め方も紹介します。
スタートアップは、新しい事業モデルで短期間に急成長を目指す、創業から間もない会社を指します。ベンチャー企業と重なる言葉ですが、スタートアップは「まだ売上より投資が先行し、外部から資金を調達して事業を作っている段階」の会社を指すことが多く、リスクもリターンも大きいのが特徴です。
同じスタートアップでも、創業直後と上場準備中では、働き方も安定性もまったく違います。応募先がどのフェーズにあるかを知ることが、リスクを見極める出発点です。
| フェーズ | 状態の目安 | リスクの大きさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| シード期 | 創業直後。製品やサービスを作っている段階。社員数名 | 最も高い。資金が尽きれば事業が止まる | ゼロから作る過程そのものを楽しめる人 |
| アーリー期 | 製品を出し、顧客がつき始めた段階。社員数名〜数十名 | 高い。仕組みがなく、役割が頻繁に変わる | 仕組みを作りながら成果も出したい人 |
| ミドル期 | 売上が伸び、組織を急拡大している段階。社員数十〜百数十名 | 中程度。制度が整い始めるが、変化は速い | 組織作りや育成に関わりたい人 |
| レイター期 | 事業が安定し、上場や大型調達を準備する段階。社員百名以上 | 比較的低い。制度や評価が大手に近づく | 安定と成長の両方を求める人 |
ベンチャー企業全般と大手・中小企業の違い、20代でベンチャーに転職するメリット・デメリットは、20代のベンチャー転職のメリット・デメリットと見極め方で解説しています。
スタートアップのリスクは、大きく7つに分けられます。それぞれに対策があり、事前に確認すれば避けられるものがほとんどです。
| リスク | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| ①事業・会社の存続 | 資金調達に失敗し、事業縮小や解散になる | 直近の資金調達の時期と、あと何か月事業を続けられるかを面接で確認する |
| ②収入の不安定さ | 基本給が低め、賞与なし、昇給が業績次第 | 基本給・賞与・みなし残業の内訳を書面で確認し、ストックオプションを収入に数えない |
| ③業務量と労働時間 | 人手不足で一人あたりの業務量が多く、繁忙期は長時間になる | 「1日の流れ」と「直近の繁忙期の実態」を現場の社員に聞く |
| ④教育制度の未整備 | 研修やマニュアルがなく、自分で覚える前提 | 入社後のオンボーディング(受け入れ・立ち上がり支援)の内容と担当者の有無を確認する |
| ⑤専門性が薄まる | 「何でも屋」になり、深いスキルが身につかない | 自分が軸にしたい領域を決め、その業務が主担当になる求人を選ぶ |
| ⑥方針転換と評価の未整備 | 事業方針が急に変わり、担当や評価基準が変わる | 評価制度の有無と、直近1年で方針転換があったか、その理由を聞く |
| ⑦少人数ゆえの人間関係 | 合わない人がいても逃げ場がなく、経営者との相性が仕事を左右する | 面接で経営者と話す時間をもらい、価値観や話し方が合うかを確かめる |
スタートアップは売上より先に投資が必要なため、外部からの資金調達が止まると事業が続けられなくなります。ただし、事業が止まるときは突然ではなく、採用の停止や経費の引き締めなどの兆候が先に出ます。入社前に「直近の調達はいつか」「手元資金であと何か月運営できるか」を確認しておくと、リスクの大きさを測れます。
スタートアップの求人には、ストックオプション(将来あらかじめ決めた価格で自社株を買える権利)を条件に含むものがあります。上場や買収が実現すれば大きなリターンになりますが、実現するかどうかは会社の成長次第で、多くの場合は収入として数えられません。基本給と賞与だけで生活が成り立つかを基準に判断してください。
人手が足りないスタートアップでは、営業をしながら採用や事務にも関わることが普通です。幅広い経験は強みになる一方、「これができる」と言える専門領域がないまま数年たつと、次の転職で評価されにくくなります。自分の軸にする領域を決め、そこでの成果を積み上げる意識が欠かせません。
後悔の原因は、リスクの存在ではなく、リスクを知らずに決めた、または知っていても自分に当てはめなかったことにあります。相談の現場で多い5つのパターンを挙げます。
今の会社が楽しくないという理由だけでスタートアップに飛びつく前に、その原因が会社の規模にあるのか仕事内容にあるのかを切り分けておくと、環境選びを間違えにくくなります。原因の見つけ方は仕事が楽しくないときの原因の見つけ方と判断基準で整理しています。
向き・不向きは能力の優劣ではなく、どんな環境で力を発揮できるかの違いです。当てはまる項目を数えてみてください。
大手とスタートアップやベンチャーの働き方・評価・給与の違いを8つの軸で比べたい方は、大手とベンチャーの違いと後悔しない転職先の選び方もあわせてご覧ください。
スタートアップの情報は大手より少ないですが、公開情報・求人票・面接の3つを組み合わせれば、危険信号は見つけられます。
| 確認項目 | どこで確認するか | 危険信号 |
|---|---|---|
| 資金調達の時期と使い道 | 会社サイトのニュース、面接での質問 | 直近の調達から時間がたち、次の予定を答えられない |
| 売上と顧客の実態 | 面接で「主な顧客と売上の伸び」を聞く | 顧客名や実績を具体的に言えず、「これから」の話ばかり |
| 社員数の推移と離職 | 面接で「1年前と今の社員数」「直近1年の退職者数」を聞く | 採用しているのに社員数が増えていない |
| 経営者の説明の具体性 | 面接、経営者の発信 | 課題を聞いても「特にない」と答える。数字や根拠がない |
| 求人票の具体性 | 求人票 | 「裁量大」「成長できる」だけで、業務内容と条件が書かれていない |
| 労働条件の書面 | 内定後の労働条件通知書 | 基本給とみなし残業の内訳が不明。書面を出し渋る |
率直な質問に対して、答えを濁したり不機嫌になったりする会社は、入社後も情報を共有してもらえない可能性があります。質問に正直に答えてくれるかどうか自体が、見極めの材料です。
リスクを抑える進め方の基本は、辞めてから探さない、条件は書面で確認する、複数の情報源で会社を見るの3つです。
スタートアップは選考が速い一方で、事情が変わって求人が閉じることもあります。在職中に活動すれば、内定が出なくても収入は途切れず、条件を冷静に比較できます。
基本給・賞与の有無・みなし残業(あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含める制度)の時間数・ストックオプションの条件は、内定後に労働条件通知書で確認します。口頭の説明と書面が違う場合は、入社前に問い合わせてください。
面接官以外の社員と話す機会をもらう、経営者の発信を読む、転職エージェントに会社の評判や定着状況を聞く。この3つを組み合わせると、1つの情報源では見えない実態がつかめます。20代で転職を進めるときの全体の流れは、20代の転職の進め方と失敗例にまとめています。
A. できます。ミドル期以降のスタートアップでは、営業やカスタマーサクセス(契約後の顧客支援)などで未経験者を採用する会社があります。ただし、教育体制は大手より薄いため、入社後の支援内容を面接で確認してから決めてください。
A. 収入としては期待しないのが基本です。上場や買収が実現した場合のリターンであり、実現しない可能性も十分あります。付与される株数と行使価格、権利が確定する条件(在籍年数など)を書面で確認し、基本給と賞与だけで生活が成り立つかで判断してください。
A. 会社都合の退職は本人の責任ではなく、経歴の傷にはなりません。次の転職では「会社都合により退職」と明記し、その会社で何を担当し、何を学んだかを説明できれば問題ありません。
A. 戻れます。幅広い業務経験や当事者意識を評価する大手企業はあります。ただし専門性を問われやすいため、スタートアップで「どの領域で、どんな成果を出したか」を説明できるように、在籍中から軸を意識しておくことが大切です。
株式会社おもろいでは、スタートアップやベンチャーへの転職を考える20代の方に、会社の成長フェーズ・定着状況・年収の内訳など、求人票では分からない情報を踏まえて、合う会社かどうかを一緒に判断しています。「リスクが気になるけれど挑戦したい」という段階で、気軽にご相談ください。
執筆・監修 岩田珠優(CA/RA担当)
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